2019年 7-9月期(第Ⅲ期)景況調査の動向
2019.10.31(木)
2019年7~9月期(第Ⅲ期)景況調査を9月17日~9月30日まで実施し、207社から回答がありました。10月25日に開催した支部政策委員会では、大貝氏の調査結果をもとに、景況を意見交換しました。
今期は、全体として業界の状況DIは3期連続で改善した前期2.8→今期1.5へやや悪化に転じました。一方、各社の業況を示す業況判断DIは前期15.4→今期17.4へと改善の動きを示しました。売上高DIは15.9→17.9と改善しつつも、収益状況は11.8→9.7へとやや悪化、仕入価格は43.5→42.0のやや低下、販売価格は14.2→14.6のほぼ横ばいとなりました。
業種別にみると、建設業の業界状況DIは20.3→28.0、流通商業は▲25.0→▲18.4の改善、一方サービス業は10.8→8.5のやや悪化、製造業に至っては▲9.8→▲43.8と大幅な悪化となるなど、時期及び業種による大きな差がみられました。
次期見通しでは、全体としては業界の状況DIは1.5→▲8.2の悪化、業況判断DIは17.4→▲0.5、売上高DIは17.9→1.99、収益状況DIは9.7→▲1.0と大幅な悪化の見通しとなりました。業種別に見ても、業界の次期見通しは建設業が28.0→8.5、流通商業は▲18.4→▲23.7、サービス業は8.5→0.0とそれぞれ悪化、▲43.8→▲40.0とやや改善の値を示す製造業であっても▲40であり、次期はかなり厳しいと見ています。経営上の問題点のトップには依然「従業員の不足」が上げられ、人手不足が深刻化してすでに業務に支障をきたしているほか、10月1日からの消費税の増税、米中貿易摩擦、日韓問題など、先行きの不透明さが会員経営者のマインドに影響を与えていると思われます。特に製造業は仕入価格がやや低下する見通し以外、すべて悪化の見通しとなっており、実際に今期の調査項目の中で一番大きな変化を表したトップ2は製造業の業界状況DI(34.0Pt悪化)、業況判断DIの次期見通し(31.3Pt悪化)となっており一層厳しい様子が伺えます。
今回は消費税に関する特別調査を行い、不安材料について聞いたところ、全体では「売上不振」(43.5%)、次いで「事務対応」(40.3%)となり、業種によって1位と2位が入れ替わることがあってもこの2つが多く上げられました。
自由記述欄には、建設業からは「仕事のできる技術者不足により、仕事を取りにいけない」「従業員、熟練士の慢性的不足が続き営業展開が縮小ぎみ」など実際の仕事に影響が出ている声や、製造業からは「消費税アップで消費の減少になり、GNPが縮小するのではないか不安だ」、流通商業では「軽減税率、キャッシュレス推進、地域振興券などに強い怒りを感じます」「国際情勢の不安、インバウンドの減少(香港、韓国)」、サービス業では「人口減少による需要の減少及び技術者確保」「人員削減のための業務の効率化を図るために機械化を促進」等々、依然続いている経営課題に消費税増税が加わる状況になっています。
出席委員からは、次のような声や景況感が寄せられました。
「消費増税前の駆け込みはあまり感じられない。震災から1年たち復興も進みつつあるので、これからは落ち込むのでは」(建設)、「札幌は対前年比で少し上がったが、札幌近隣地域での新築等は150%前後となっている」(不動産)、「昨年は震災でハイシーズンがダメだった。今年は昨年より持ち直しているが、日韓関係もあって韓国からの旅行者がかなり減っている。一方で中国からの旅行者は増えていて、業者によって明暗が分かれている」(運送業)などの意見がありました。
以上の結果から、札幌支部エリアの景況は、今後は一段と不透明な見通しとなりそうです。「消費税増税の影響での売り上げ現をどう乗り越えるのかが最大課題です。中小企業が連携することが大事なことだと思っています」(建設業)、「中小企業があってこそ生き残れるし、市民も地元企業あってこそ地域が持続できるとの認識一致を図ることが大事だと感じます」(サービス業)など、中小企業同士や地域との連帯を強めていくことへの継続的な取り組みがますます重要になっています。
2019年10月30日 北海道中小企業家同友会札幌支部政策委員会
20191031景況調査2019年7-9月期まとめ(Web公開用)
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