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2019年10-12月期(第Ⅳ期)景況調査の動向

2020.01.29(水)

2019年10~12月期(第Ⅳ期)景況調査を12月16日~12月31日まで実施し、193社から回答がありました。1月22日に開催した支部政策委員会では、大貝氏の調査結果をもとに、景況を意見交換しました。
今期は、全体として業界の状況DIは前期1.5→今期▲6.8へと2期連続で悪化となりました。また、各社の業況を示す業況判断DIは前期改善した17.4→今期9.3へと悪化に転じました。しかしながら、売上高DIは17.9→18.0とほぼ横ばい、収益状況は9.7→11.4へとやや改善、仕入価格は42.0→40.3のやや低下、販売価格は14.6→13.9のほぼ横ばいとなり、個別企業としては現状維持の結果になりました。
業種別にみると、建設業の業界状況DIは28.0→2.3、製造業は▲43.8→▲57.7、流通商業は▲18.4→▲35.5の大幅悪化となった一方、サービス業は8.5→10.3へのやや改善となりました。製造業は前々期から▲9.8→▲43.8→▲57.7と悪化傾向にあり、人件費、仕入れ単価の上昇が経営を圧迫していると思われます。
次期見通しでは、全体としては業界の状況DIは▲6.8→▲16.3、業況判断DIは9.3→▲8.1、売上高DIは18.0→▲1.6、収益状況DIは11.4→▲3.7とそれぞれ大幅な悪化の見通しとなりました。業種別に見ても、業界の次期見通しは建設業が2.3→▲24.4、製造業は▲57.7→▲60.0、サービス業は10.3→1.2とそれぞれ悪化、流通商業も▲35.5→▲24.1と大幅な改善を示していますが依然マイナス値であり、「仕入先からの値上げ要請」との回答割合が多いことから、全体的には厳しい状況と見ています。
経営上の問題点のトップには前期まで「従業員の不足」がトップでしたが、今期は「人件費の増加」となりました。また、今期から従業員規模の回答を得たことによるクロス集計では、10人未満企業では「民間需要の停滞」がトップ、10人以上50人未満では「人件費の増加」、50人以上では「従業員の不足」がそれぞれトップとなっています。経営上の課題では、業種別も従業員規模別ともに、「付加価値の増大」「新規受注の確保」がトップ2となりました。今期の調査項目の中で一番大きな変化を表したのは、トップ2は製造業の業況判断DI(36.3Pt悪化)、次いで建設業の業界の状況DIの次期見通し(26.7Pt悪化)となっています。
今回も消費税に関する特別調査を行い、駆け込み需要の有無については76.3%が「なかった」と回答。価格転嫁については、70.2%から「できた」との回答がありましたが、従業員5~9人規模の企業では44.0%が「できていない」と回答していることが気になります。
自由記述欄には、建設業からは「業界的に好調感はあるが、それを上手く生かし切れていない感じがする。人手不足や資材費の高騰などを上手に使っている会社と、そうでない会社の差がはっきり出始めている」、製造業からは「仕事は溢れるほどに有るものの、人材不足により受注困難となっている」、流通商業では「仕事も車もあるが人がいない。免許制度の関係でトラックに乗れないという事で若年層を雇用しても運転させるには、時間とお金を投資しなければならない。非常に厳しい」、サービス業では「人の確保が今以上に厳しくなっていく。人材の確保が出来なければ売上げを伸ばしていけない」等々、人の採用が受注に大きく響いていることが伺えます。
出席委員からは、次のような声や景況感が寄せられました。
「熟練技術者を確保できない影響が大きい」(製造業)、「他業界や規模の大きい企業の参入が影響しているとの協力業者の声がある」「補正予算がついたので、実際にはプラスに転じるのでは」(建設業)、「客層によって個別の企業の状況は変わるが、全体的には地盤沈下している」(運送業)、「人材不足の解決策として、障害者を雇用した。仕事の明確化と適切な指導で大いに力を発揮している」(不動産)、「観光への転化、ハードからソフトへの転換など、サービス業へ資源を集中する動きが多くなってきた」(サービス業)などの意見がありました。
以上の結果から、札幌支部エリアの景況は、今回の調査時期には発生していなかったアメリカとイランの衝突や新型肺炎による観光への影響など、調査結果以上に厳しい状況を迎えています。「景気変動の影響も見逃せませんが、マーケット変化に対応した製品サービスの開発提供の可否が重要と考えます」(製造業)など、地域のニーズの掘り起こしと自社ならではの強みのブラッシュアップが鍵になりそうです。

 

2020年1月22日 北海道中小企業家同友会札幌支部政策委員会

20200128景況調査2019年10-12月期まとめ(Web公開用)

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