札幌支部経営指針委員会 メールマガジン vol.8
2022.02.25(金)

経営指針委員会メールマガジン「月刊 経営指針」2月号
Vol.8(2022年2月25日 発行担当:経営指針委員会 副委員長 三原 広聡)
同友会札幌支部の会員の皆様
このメールマガジンは、札幌支部会員の皆様に月に一度、同友会活動の根幹となる
経営指針成文化運動に関するさまざまな情報をお送りするメールマガジンです。
今回は1月25日に開かれた経営指針実践セミナーについてご報告いたします。
<経営指針実践セミナーとは?>
同友会で進めている経営指針成文化運動ですが、経営者にとって経営指針を作成することが終わりではありません。会社の成長や成熟を目指して経営指針を実践していくことが求められます。しかし、経営指針の実践とは何でしょう?この問いに答えるべく、経営指針委員会では年に一度、経営指針の実践についての例会を開いています。
また、数年前よりこの実践セミナーは経営指針研究会の最終講としても位置づけられ、各期の研究生の実践の指針となるよう企画されています。
<1/25 経営指針実践セミナーについて>
去る1月25日に開催された経営指針実践セミナーは香川同友から代表理事の林哲也氏(香川県ケアマネジメントセンター(株) 代表取締役)をお招きし、総勢56名の参加で開催されました。「まん延防止等重点措置」適用のため、完全Zoom開催になったことは残念でしたが、他支部会員の参加も含め、多くのみなさんに林氏の話を届けることができ、様々な経験・知見を我々にもたらせてくれたと思います。当日のテーマは下記の通りです。
【テーマ】
経営者の心情を語っていますか?
安心して働ける企業づくり
~人を生かす経営の実践~
【報告者】香川県ケアマネジメントセンター株式会社
代表取締役 林 哲也氏
(中同協 経営労働委員長・香川同友会 代表理事)
タイトルにもあるように、いきなりの問いかけが「経営者の心情を語っていますか?」です。これまで、長い月日をかけてワンマン社長から脱皮したいともがいている私には、相当インパクトのあるタイトルでした。これ以上自分のことを社員に語って良いのか?しかし、報告が始まるや否や、あっという間に林社長の語り口に引き込まれてしまいました。
<本気の「経営姿勢」とは何か?を見せつけられた>
報告は林社長の生い立ちから始まりました。格好の良い話は一つも出てきません。家族との相克など重たい話も混じります。就職して味わった辛い経験、会社を設立してからの迷い、同友会との出会いと、ひとときの離脱。聴いている方もつらくなってきた時、林さんは静かに語りかけました。…「経営者の心情を語るのです」。
香川同友では、経営理念で「自分の半生を明らかにする」事を必須としているそうです。
年表や自分史を作成しながら自身の半生をつまびらかにすることで自然と経営者としての覚悟が生まれるとのことでした。社長の生き様を知ることで、社員が泣いてしまうほどの感動を共有するのだと言います。まず、この香川同友の取り組みに圧倒されました。
また、今回は報告者の林氏から参加者に44ページにも及ぶ同社の経営指針書が事前配布されました。同社の経営指針書は「経営指針」「法人部門シート(経営目標など)・個人シート(全社員個人の反省と目標)」「就業規則」の3部構成になっており、原本は80ページに及びます。恥ずかしながら、この記事を書いている私は事前に読了できなかったのですが、林氏の講演を拝聴した後に改めて読み返すと、全社員が参画して本当にものすごい熱量で作成された経営指針であることに圧倒されました。今回配布された抜粋版の44ページでもそのエッセンスがしっかり伝わってきますので、可能でしたら参加された方に見せて頂く事をお勧めします。
経営指針を作られた方にとっては当然と思われますが、林氏も毎年、経営指針を作成されています。指針の内容を実践し、その結果を翌年度の指針に反映させています。この道筋も素晴らしいものでした。指針作成にあたり毎年ロードマップを策定し、3月の全社面談を皮切りに半年以上をかけて準備を進め11月に発表されているとのことでした。毎年、年度末の2月頃からのほほんと作成していた私は恥じ入るばかりです。経営指針の策定までには全社員を対象とした働く環境づくりと就業規則に関するアンケート、社員個人の反省と目標、企業変革支援プログラムの実施などがロードマップに従って行われ、全ての行程の日時があらかじめ決まっているという厳しいルールの下で進められています。まさに経営者の想い、社員全員の想いが詰まった経営指針書です。
林氏は初めからこのような順風満帆の経営をされていたわけではありません。1995年の創業以来数多くの失敗と改善を繰り返されていました。この辺りは同社の経営指針書の冒頭、経営者の反省に詳しく記載されています。つまり全従業員が経営者と会社が犯した過ちを共有しているのです。林氏の「失敗は社員教育」という想いが実践に結び付いている事例だと思います。
同社は社員や社外に対して経理の公開も行っていますが、そのスタイルもユニークなものでした。付加価値計算書と仰っていましたが、いわゆる粗利益(通常は付加価値)から人件費以外の一般販売管理費を引いた金額を付加価値として、人件費がそこからねん出されていることを社員に共有されていました。また、人材採用にも経営指針書が効果的に使われ、ホームページでその一部を公開するなど、経営指針の実践のひな型を見るような思いでした。
今回の経営指針実践セミナーは56名という多くの皆さんに参加いただき、Zoomによるグループ討論も各グループ活況だったようです。各グループからの報告では、今すぐに実践したいという言葉が相次ぎました。また、香川同友会の経営指針研究会のプログラムには「社内発表」が組み込まれているというのも新しい知見でした。
ここに実践セミナー開催の報告をするとともに、改めて報告者の林哲也氏に感謝申し上げます。
札幌支部経営指針委員会では現在、第19期経営指針研究会の研究生を募集しています。皆さんも、経営指針を学んで林氏の掲げる「地域の小さな一流企業」を私たちと共に目指しませんか?
次回は2月21日に行われた第18期経営指針研究会&第2期経営指針実践セミナー合同報告会の模様をレポートいたします。
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