2019年 1-3月期(第Ⅰ期)景況調査の動向
2019.06.03(月)
2019年1~3月期(第Ⅰ期)景況調査を3月8日~3月30日まで実施し、229社から回答がありました。4月8日に開催した支部政策委員会では、大貝氏の調査結果をもとに、景況を意見交換しました。
今期は、全体として業界の状況DI(前期▲10.6→今期▲3.1)と業況判断DI(前期12.8→今期11.8)のギャップが大きく、特に建設業で顕著となりました。一方製造業では業界の状況が大幅に悪化しています(前期▲25.0→今期▲37.5)。また、従業員不足は依然深刻です。
次期見通しでは、全体として業界の状況DI(前期▲3.1→今期▲1.3)と業況判断DI(前期11.8→今期13.1)はいずれも改善見通しですが、売上高はやや悪化の見通しとなりました(前期21.8→今期18.3)。特に建設業は大幅な悪化見通しとなっています(前期28.3→今期13.2)。
出席委員からは、次のような声や景況感が寄せられました。
「公共事業では久しぶりに大型補正予算がついたことが影響しているのではないか」「住宅関連はあまりよくない。札幌市内では新築よりも中古物件の方が売れており、土地の動きも落ち着いた」「札幌よりも恵庭や石狩など近郊での引き合いが増えている」「前回の消費増税前よりも駆け込みの動きが少ないようだ」「働き方改革も有休消化も、内部留保を取り崩しながらやりくりしている」。
アンケートの記述でも、「業界全体の人材不足により受注単価は上昇しているが、いつまで続くか不透明。今の好機が健全なものとは思っていない」(建設業)、「新商品の販売先、拡販が鈍い」(流通商業)、「庶民の体力は脆弱の為、目先の手当てでは非常に不安定。庶民の体力をつける政策を望みます」という声も寄せられています。
なお、直近では札幌市経済観光局が「平成30年度下期札幌市企業経営動向調査」(2 月1 日~2 月20 日 有効回答1,065 社)を実施し、市内の景気判断指数は全業種平均でマイナス16.3となり、2期連続の下降となっています。また建設は前回のプラス1.9から13.1ポイントへ大幅に下降し、マイナス11.2となっています。
一方、中同協は2019年10月の消費税10%引き上げ等について4月8日~4月26日まで全国緊急アンケートを実施し、北海道同友会会員284社が回答しました。その結果、消費税10%の引き上げについては30%が反対し、25%が凍結を求めています。また、消費税率引き上げにより、46%が「景気は悪くなる」と回答し、さらに27%が「景気はかなり悪くなる」としています。
以上の結果から、札幌支部エリアの景況の先行きは楽観できず、10月の消費増税は一層景気を冷え込ませることが予想されます。顧客や取引先との信頼関係を強めると共に、社内体制の強化が求められていることが明らかとなりました。
回答頂いた各社のご協力に感謝いたします。
一般社団法人北海道中小企業家同友会札幌支部 政策委員会
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