2020年1-3月期(第Ⅰ期)景況調査の動向
2020.05.01(金)

2020年1~3月期(第Ⅰ期)景況調査を3月16日~3月31日まで実施し、307社から回答がありました。4月20日に開催した支部政策委員会では、大貝氏の調査結果をもとに、景況を意見交換しました。
今期は、突如発生した新型コロナウイルス感染症が直撃、「コロナ大不況」への突入の様相を示しました。全体としては、業界の状況DIは前期▲6.8→今期▲28.2、各社の業況を示す業況判断DIは9.3→▲15.5、各社の売上高DIは18.0→▲7.5、収益状況は11.4→15.5へと軒並み20Pt以上の大幅な悪化となりました。
次期見通しは、業界の状況DIが▲27.3Pt、業況判断DI▲28.9Pt、売上高DI▲38.5Pt、収益状況DIは▲29.7Ptと、今期以上に厳しくなる見通しです。
札幌支部の会員構成は「5人未満」「5~10人未満」「10~20人未満」「20~50人未満」「50人以上」のそれぞれが約20%となっています。今回の結果を規模別に見ると、「5人未満」が▲29.5Ptと最も落ち込みが大きく、次いで「5~10人未満」の▲28.9Ptとなっていますが、次期見通しでは「20~50人未満」が▲32.7Ptと最も悪化すると見ています。なお、「10~20人未満」は資金繰りDIが▲30Pt(13.9→▲16.1)と悪化しているのが気になるところです。
業種別にみると、建設業の業界状況DIは2.3→▲14.7、流通商業は▲35.5→▲48.1、サービス業は10.3→▲26.6と大幅悪化となった一方、製造業は▲57.7→▲34.8へとやや改善となりました。次期見通しでは、製造業は▲73.7、流通商業は▲68.0と厳しい見通しが表れています。特に、売上高DIは建設業が▲40.9Pt、サービス業が▲41.0Ptの悪化見通しとなっており、予断を許さない状況です。
経営上の問題点のトップには前々期は「従業員の不足」、前期は「人件費の増加」、しかし今期は「民間需要の停滞」がトップとなり、コロナの緊急事態宣言による経済活動への影響が浮き彫りになっています。
自由記述欄には、“コロナへの不安”が多くみられました。建設業からは「コロナの影響で仕事に影響が出そう。全貌が不透明で対策が困難」「3月の顧客からの工事依頼電話が昨年の半分以下。周りの建設業者も、仕事が少ないとボヤいている。コロナ対策に真正面から取り組む以外に打開策は見当たらない」、製造業からは「消費税増税とコロナウイルスのダブルパンチで、売上に影響している」「コロナ影響のための資金確保」、流通商業では「先月の売り上げがその前の月から比べて半減。理由は中国企業からの荷物出荷の減少だと思われます。創業間もないので、補助金や借り入れの不安が大きい」「コロナの影響は大きい。店頭の売り上げは激減です」、サービス業では「中国はじめ、インバウンドの客不足によるお客が来ない」「雇用を維持しながらの経営では赤字が必至だが、決算が頭が痛い」等々の厳しい声が届いています。また、「中小零細企業への政府の対応を急いで欲しい。新年度に向けて不安」「資金繰りへの無利息融資であっても返済目途が立たない状況や借り入れはしないがギリギリの状況で運営している企業への支援を考えてほしい。減収に対する資金補助や家賃補助など」「政府の繰出す政策は中小零細企業にとって的外れが多い。例えば売上減に対して低金利(無利子)融資等を言っているが、売上の減少を返済する借金で補っても無意味です」など、直接かつ速やかな支援策への要望もありました。
出席委員からは、次のような声や景況感が寄せられました。「お客様からの仕事の電話は確かに少ない。連休以降はわずかにあるだけでその後の仕事がまだない」「住宅設備が手に入らず、引き渡しができないため、工期が心配」(建設業)「自粛によってイベントなどがなくなっている。また、訪問も簡単にできず悩ましい」「自粛によってだれも外出しなくなって、売上が大きく減少した」(サービス業)「建設関係の資材を製造しているが、お客様からの見直しも出てきた」(製造業)等の意見がありました。
以上の結果から、未だ終息が見えないコロナ状況にあって、緊急事態宣言の延長も予想されることから、一段と厳しい状況を迎える予想されます。「今は社会全体が大変な状況ですが、お互いに協力できる部分、自分でもできることをしっかりやり、なんとか乗り越えていきたいです。必ず回復の時期が来ると信じています」(サービス業)との声にある通り、金融機関や関係機関等への協力依頼、支援策の申請・活用など今必要な手を打ちながら、そして先をみた準備も欠かせません。
2020年5月1日 北海道中小企業家同友会札幌支部政策委員会
20200430景況調査2020年1-3月期まとめ(Web公開用)
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