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2020年4-6月期(第Ⅱ期)景況調査の動向

2020.07.22(水)

2020年4~6月期(第Ⅱ期)景況調査を6月22日~6月30日まで実施し、184社から回答がありました。7月20日に開催した支部政策委員会では、分析担当の北海学園大学の大貝准教授の調査結果をもとに、景況を意見交換しました。
今期は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による「コロナ不況」が続き、各業界の状況、業況判断、売上高、収益状況すべてで2期連続20ポイント以上の大幅な悪化となりました。次期見通しも今期と横ばいまたはやや悪化という結果になり、リーマンショック以上と言われる「コロナ不況」が継続する見通しです。

全体としては、業界の状況DIは前期▲28.2→今期▲51.4、各社の業況を示す業況判断DIは▲15.5→▲38.5、各社の売上高DIは▲7.5→▲35.9、収益状況は▲15.5→▲35.5へと全てで2期連続20Pt以上の大幅な悪化となりました。次期見通しは、業界の状況DIが▲2.3Pt、業況判断DI▲0.5Pt、売上高DI▲4.9Pt、収益状況DIは▲5.2Ptと、引き続き予断を許さない状況が続くことが予想されます。
札幌支部の会員構成は「5人未満」「5~10人未満」「10~20人未満」「20~50人未満」「50人以上」のそれぞれが約20%となっています。今回の結果を規模別に見ると、「5人未満」の業況判断の次期見通しが18.8Ptの大幅な改善、「5~10人未満」でも23.8ptの改善見通しを示した一方で、他の規模では軒並み悪化する見通しとなっています。なお、「5~10人未満」は売上高DIが▲42.2Pt(▲10.2→▲52.4)と悪化しているのが気がかりです。
業種別にみると、建設業の業界状況DIは▲14.7→▲38.1、製造業は▲34.8→▲65.7、流通商業は▲48.1→58.1、サービス業は▲26.6→▲49.3と大幅に悪化。次期見通しでは、製造業は▲73.7、流通商業は▲68.0と厳しい見通しが表れています。特に、売上高DIは建設業が▲40.9Pt、サービス業が▲41.0Ptの悪化見通しとなっており、予断を許さない状況です。
新型コロナウイルスへの対応は、時差出勤・時短勤務の実施(33%)が最も多く、次いで民間金融機関への融資申込(29.1%)、テレワークの導入(26.8%)、そして政府金融機関への融資申込・相談窓口への相談(26.3%)となりました。
自由記述欄からは、各社が新型コロナウイルスへの対応に苦慮している様子を伺い知ることができました。建設業からは「来年以降の工事順延、中止や受注減少などで今後の見通しがつきにくく、何らかの影響があると考えている」、製造業からは「予想よりも景気の回復が遅れている」、流通商業では「新型コロナウイルスの影響もあるが消費税増税の影響が大きい」「今のところ順調だが、秋以降は全くよめない」、サービス業では「社会環境はコロナ以前の状況には戻らない。確実に社会は変わります。新しい方向性に向けて足固めをしたい」「コロナ対策に膨大な資金が使用されていること、コロナの影響で税収減が見込まれていることから、次年度以降の官需要の落ち込みを懸念している」等々の声が届いています。

出席委員からは、次のような意見が寄せられました。「直接的な影響は大きくないが、先が見えないと感じている企業は多い」(建設業)。「多くの観光関連事業者はインバウンドと団体客がいないため、非常に厳しい。観光バスの稼働率はこの半年間、1~2割程度」(サービス業)。「虐待などの事例が増加しているので、メンタル対策など経済政策以外の対策も必要」(医療・福祉)等の意見がありました。また、長期化に伴う影響として「税金と社会保険料の支払いを1年間猶予された事業者は、来年の今頃に支払いが集中するので、多くの中小企業は厳しい状況になることが予想される」との懸念も示されました。
以上の結果から、新型コロナウイルス感染拡大の長期化が現実的なものになりつつあり、経営計画ならびに経営戦略の見直しの必要性が浮き彫りになりました。

2020年7月20日 北海道中小企業家同友会札幌支部政策委員会

200720景況調査2020年4-6月期まとめ(Web公開用)

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