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寒冷地仕様のEV開発プロジェクト 道産技術で挑戦(Will-E)

2018.02.16(金)

2013年から始まった寒冷地仕様の電気自動車(EV)開発プロジェクト。道内の中小企業10社が共同開発し、ことし6月に発売を予定しています。これまでの経緯とプロジェクトに込められた思いを、技術統括責任者であるWill-Eの根本英希社長(札幌支部会員)に聞きました。


このプロジェクトは北海道独自のものづくりに挑戦しようと、中小企業基盤整備機構北海道本部がEVに着目し、道内の中小企業に呼び掛けたことがきっかけです。課題に直面する度に参加企業が増え、現在は10社で取り組んでいます。一つのプロジェクトが4年間続くこと自体が異例だと言われますが、それは企業間の緩やかな連携が続いているからだと思います。「できるところはやるけれど、できないところは無理をしない」と互いを気遣いつつ、中小機構が調整役となり奮闘してくれたからこそ、市販化に至ったのだと思います。

6月に販売するのは「ネイクル・タイプⅡ」と「ネイクル・タイプⅢ」です。タイプⅡは1人乗りの四輪車(ミニカー)で、最高速度時速50キロ、フル充電での走行距離は50キロ。車の底部を10センチ高くするなどして後輪駆動でも雪道で安定した走行ができるよう工夫しています。最新のタイプⅢは側車付自動二輪車(トライク)を改造した2人乗りで、最高速度時速50キロ、フル充電での走行距離は60キロ。100キロの積載量が特徴です。

このプロジェクトに携わる企業のほとんどは、直接顧客の目に触れる仕事をしていません。しかしEVは外見で分かりやすく、直接評価してもらえるため、社員の仕事への意欲が高まっています。加えて大規模な展示会は若手社員が成長する機会となり、会社としても意義のある挑戦になっています。

私たちのコンセプトは「北海道で有効に使えるモビリティを作りたい」というところにあります。車の形や体裁にこだわりはありません。北海道で利便性のあるEVとしてこんな形はどうだろうかという、私たちから皆さんへの問いかけなのです。

人口減少社会を迎え、今後の交通基盤は確実に変化していきます。その時に自分の住む地域はどうあるべきかを考えると、車の使い道も変わってくるでしょう。次の世代の人たちがその答えに辿り着くための選択肢を、今の私たちが広げているのではないかと思います。それは地域の課題を優先してものづくりができる、中小企業だからできることではないでしょうか。


 

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